これまで数多くの雨用ビジネスシューズを購入した。その中にはブログにアップせずに忘却の彼方へと散っていった失敗経験のほうが多かったような気がする。
今回購入したのは2020年に登場したGORE-TEX搭載のレッドウィングポストマンシューズ。
究極の雨用ビジネスシューズだと言える本作を手に入れた今、過去も反芻しながらレビューしていきたい。
過去に購入した雨用靴
「雨の日に履く靴シリーズ」で紹介してきたとおり、防水性が優れ、かつ、快適に履ける靴を探し求め、数多くのアイテムを試してきた。そんな中でブログでは紹介できなかったものを中心にピックアップしてみた。
マッキントッシュフィロソフィーのレインブーツ
マッキントッシュフィロソフィーのラバー製レインブーツは雑誌にも取り上げられた品で、当時は意気揚々とデパートで試着して購入した記憶がある。
定員のアドバイスによれば「ラバーなのでタイトなサイズ感だと靴擦れが起きやすい」ということだったので、多少靴内に余裕があるサイズ感を選択した。
初めて雨天時の通勤に履いてみたところ、靴の中で足が遊び、インソールも滑りやすいので、とにかく足が疲れることが分かった。
私は理解していなかった。これは「ドレス靴の顔した単なる長靴」なのだということに。いや、もしかしたら長靴のほうが履き心地は幾分かマシかもしれない。
スラックスがブーツの履き口によく引っかかってしまうのも、いただけないポイントだった。
1.2万円程で大した出費ではなかったが、「餅は餅屋、靴は靴屋なんだな」と思い知らされた経験談。
ユニオンインペリアルのスエード靴
ラバーシューズは完全防水靴である。しかし履き心地が悪い。ならば革靴だけど防水・撥水性が高いものを買ってはどうか、という真逆のアプローチから選択したのがユニオンインペリアルのスエード靴だ。
ブランドがユニオンインペリアルなのはたまたま年始のセールで安くなっていたからであって、深い理由はない。茶色のスエード靴というのは、どこか大人びた雰囲気もあり、ダイナイトソールも汎用性が高く、購入時は「非常に良い買い物をしたものだ」とテンションが上がったのを覚えている。
もちろん雨の日だけでなく晴天時も活躍してくれたが、そんな茶スエード靴との蜜月はある時に終焉を迎える。連日雨が続いた為に靴が乾かず、最終的にカビが生えたのだ。
これは当時住んでいた賃貸マンションの湿気が多かったことも大きな理由だが、冷静に分析すれば、スエード靴というのはスムース革よりも撥水性が多少良い、というだけで雨の強さや暴露時間によっては当然水が染み込む可能性があるということだ。
故に、もはや日本の気候においてスエード靴は雨用靴として解決策になり得ない、というのが私の結論である。
マドラスのゴアテックスシューズ
スエード靴がダメならもうGORE-TEXしかない、と考えて購入したのがマドラスのGORE-TEXシューズ。当時はドレスシューズでGORE-TEXを搭載しているのはマドラスとリーガルくらいしかなく、マドラスのほうがアウトソールが大胆に穴が空いているので通気性が良さそう、というのが選んだ理由だった。
リーガルが3.5万円に対し、マドラスは2万円前後から買えることも魅力に映った。
しかし私が購入したモデルは正直失敗だったと言わざるを得ない。理由の一つは甲革がガラスレザーで質感が安っぽかったこと、そして致命的だったのは通気性と引き換えにソールのクッション性が非常に乏しかったことだ。
これも歩いていて疲れるので、雨季の中国華南エリアの展示会や出張には使いづらい(毎年とんでもないゲリラ豪雨に見舞われる)。
ちなみに現在はマドラスウォークからクッション性の良さそうなGORE-TEXシューズが多数出ているので、足に合うのであればアリかもしれない。
パラブーツのシャンボード
過去購入してサイズ選択を誤り、結局手放すことになったシャンボード。
使用されているリスレザーはオイル含有量が多く、雨に強い靴として名高い。
しかし定価7万円もする高級靴を雨の日に履くのは気が引けるというもの。結局晴天時にしか履かなくなるので、「パラブーツ程度なら雨用として丁度良いよね」という財力を備えてこその雨用シューズではないだろうか。
パラブーツは雨に強いと聞いたけど…どうして雨に強いの?本当に雨に強いの? パラブーツをお勧めするときにする謳い……
導き出した答え
防水性と履き心地/質感は、トレードオフの関係にあり、完璧に私の心の隙間を埋めてくれる雨用シューズはないと考えていた。
しかしレッドウィングのポストマンシューズ ゴアテックスはそんな悩める人々の救世主になる、そんな可能性を秘めている。
ポストマンシューズ ゴアテックスの購入場所
購入したのは昨年アイアンレンジャーを購入した店舗「上野フットモンキー」。国内でレッドウィングのアウトレット品を扱う数少ない小売店舗。
仕事後にポストマンシューズ狙いで立ち寄ったところ、ちょうど在庫があったので試着させてもらった。
足の実測26.5㎝、スニーカーサイズ27.5㎝、UK8, EU42-43サイズを選ぶことが多いが、アイアンレンジャーはUS8.5を前回購入。一方、今回購入したポストマンシューズ ゴアテックスはUS9.5でジャスト。店員さん曰く、ゴアテックスの生地がある分、タイトなフィット感になっている、ゴアテックス生地は伸びないのでジャストサイズを選ぶほうが良い、ということでUS9.5を選択。
ちなみに試着したUS9.5がちょうどアウトレット品で20%OFFになるとのことで即決。定価44,000円(税込み48,400円)のところ、4万円以下で手にすることができたのは巡りあわせと幸運としか言いようがない。
アウトレットの理由は牛革特有のシワとのことで、個人的にはまったく気にならないレベルだった。ちなみに右足のシューレース先端のチューブが取れているのでシューレース自体も追加購入予定。
シュータンにパンチ穴が開いているのがアウトレット品である印。アウトレット品であってもGORE-TEXの保証があるので、万一雨の浸水があれば保証対象となるとのこと。
外観レビュー]
革の質感
ゴアテックス搭載モデルには通常のポストマンシューズと異なるユーコンレザーという皮革が使われている。これはGORE社の基準に満たないと靴にGore-tex を使えない為で、撥水性と通気性を備えた皮革をこのモデルの為に開発したとのこと。自社でタンナーを持つレッドウィング社ならではといえる。
艶が少な目でヌバックとスムースレザーの中間のような質感。オイルケアをすれば比較的容易に艶が出るレザーとのことだが、その分通気性が失われてしまう。
公式ではオイル分の少ないレザークリームでのケアを推奨している模様。
※レッドウィング公式Youtubeで詳しく解説されています。
インソール(GORE-TEX)
靴内部は足を囲うようにゴアテックスが張り巡らされている。雨の日でもゴアテックスなら安心だ。
表面には”キャンブレル”という摩擦に強く、吸汗速乾に優れたナイロン不織布が使用されている。更にインソール内部に断熱性のシンサレート、クッション性の高いポロンが使用されているので、履き心地にもこだわった逸品。
アウトソール
アウトソールにはクッションクレープソールを使用。フラットで歩行安定性に優れている。
ソールの厚みも十分にあるので沢山歩くビジネスマンには打ってつけのソールとなっている。
トリッカーズ短靴との比較
トリッカーズの短靴バートンUK8.0サイズとの比較。アウトソールの全長はいずれも約31㎝で同等サイズ。
足幅はポストマンのほうが細い。
ポストマン(左) 10.5㎝に対し、バートン(右) 11.5㎝あり、その差1㎝。足幅が広い人はポストマンのサイズ選びはより慎重にしたほうが良さそうだ。
着用イメージ
身長175.5㎝、体重73㎏の筆者の着用イメージ。ビジネスのみならずカジュアルにも合わせられる。それがポストマンシューズの魅力。
レザーケア
ポストマンゴアテックスのケアは最小限でよいと思うが、履き始めにケアをしないのは気持ちが悪いので、公式推奨のレザークリームを塗りこんでみた。
それっぽく指で塗り込む。
ちょっと塗り過ぎたので両足分に伸ばして使用。
最後にブラッシング&クロスでポリッシング。
正直見た目の違いは微々たるもので、多少艶が出たかな、という程度。ゴアテックスが持つ透湿性を損ねては意味がないので、最小限のレザークリームケアで育てていこうと思う。
これからどのようにエイジングしていくか、楽しみである。
履いてみた感想
ビジネスにも使えるクラシックな見た目、オールアラウンドグッドイヤーウェルトにも関わらず、履き心地はスニーカーライクでとても柔らか。幅が細めの作りではあるが、履きはじめから当たる感覚はなく快適に履くことが出来ている。
ソールが分厚いので最初は踵が浮く感じがしたが、歩くごとにソールの返りが良くなり軽減した。
また、よく靴擦れを起こす部分である履き口、特にくるぶし周りは低めの作りで、履き始めから当たる感覚は一歳無かった。トリッカーズではくるぶしの当たりに苦しまされたので、細かい配慮がありがたい。
ポストマンシューズ ゴアテックスの総評
初めて履いたゴアテックス仕様のポストマン。細かなディテールを見ていけばいくほど、レッドウィングのポストマンシューズがなぜ名品とされているか、なぜコアなファン達に愛されているかが良く理解できる。
僕らビジネスマンの足元をサポートし、強い味方になってくれることは間違いないだろう。
これが「雨に履く靴」探しの一つの終点になる、今はそんな予感がしている。