悩みに悩んだパネライ ラジオミール向けの夏用ストラップ選び。結果的に満足のいく買い物が出来たのでこの体験(ベルト選びの葛藤~購入に至るまで経緯、そして購入後レビュー)を紹介したい。
ベルト選びが難しいラジオミール ワイヤーラグモデル
パネライのラジオミールPAM00754ブラックシールロゴはクラシカルなワイヤーラグ仕様で、ベルト選びが非常に難しい。というのも本体サイズが45mmでベルトラグ幅が27mm, バックル部が22mmと非常に特殊なサイズであるからだ。
男性用の時計のラグ幅は20-22mm幅が最もメジャーで、ちょっと大きめでも24mmくらいといったところ。そんな中、やはりデカ厚の元祖パネライは違う。もちろん最近は全体的なトレンドとしてケース径40mm前後かそれ以下が好まれる傾向にあるので、パネライも38~40mmのドゥエや、それ以外にも42mmサイズをリリースしている。
しかしやはりパネライと言えば44mm以上の大きなクッションケースであり、そこから得られる視認性の良さ、一目でパネライとわかる存在感、がパネリスティというファンを生む魅力でもある。
ラジオミールシリーズにはワイヤーラグのモデルもあれば、通常のラグタイプのモデルもある。その中でもやはりパネライ唯一無二のデザインだから「ラジオミールを買うならワイヤーラグかな」と思って購入した。なので、ベルト選びが難しいとしても後悔は無い。要は手のかかる子ほど可愛いという親心のようなものだ。
ベルト選び for ラジオミール
ナイロンNATOベルト
昨年購入したのはラグ幅26㎜用の2ピース型のNATOベルトだ。
しかし生憎、国内で取り扱っている通販サイトはほとんど無くなってしまい、海外通販で取り寄せするしか無い。恐らく需要がかなり少なかったのだろう。
それもそのはずで多くの時計ストラップメーカーは20mm, 22mm幅のモデルがメインでそれ以上のラグサイズのベルトを作っていること自体が稀なのだ。
ちなみに現在はフランスのEsprit-NATOという通販サイトで購入が可能で、価格帯は€10台~€20台、送料は保証有無等により€5~20くらいの選択肢からチョイスすることが出来る。
レザーNATOベルト
ナイロンNATOを試して思ったのは、やはりラジオミールにはレザーが似合う、ということだ。
そこでクリエイターズマーケットのプラットフォームであるCreema(クリーマ)で注文したのは、ホーウィン社のクロムエクセルレザーを使用した24mmのレザーNATOベルト。
この時に「24mm幅のベルトでも結構いける」という感触を掴むことが出来たのは一番の収穫だったかもしれない。
夏用ラバーベルト
レザーだと汗による劣化が気になるのでやはり夏はラバーベルトに変えたい。そう思って探すがこれが中々苦戦した。
パネライ純正のカウッチューベルトは26,400円であり、これが最も無難な選択肢であることは間違いない。しかし、このデザインが本当に好きか、と言われると正直葛藤が生まれる。「時計ベルトに3万円弱をかけて、もししっくり来なかったら..」そんなことを考えると一歩踏み出せなかった。
他方で、海外のクリエイターズマーケットである「Etsy」ではこの純正ベルトの類似品(パ〇モン)が大量に出回っている。価格も4千円くらいであり販売者が米国だったので試しに注文してみたところ、届くまでに1~2ヶ月もかかるとのこと。発送通知を見るとどうやら中国で製造したもののようで、悪名高き「4PX」という運送会社のサービスでトラッキングナンバーが表示された。結果的に、貨物が途中で紛失したのかいつまで経っても届かず、販売者にコンプレインしたところすぐに返金してくれた。販売者の対応は非常に良かったのだが、返金の手続きも慣れたものだった。(たまに輸送途上で紛失することは想定の範囲内なのだろう)
次に検討したのはスイスの時計ストラップブランド「RUBBER B」だ。Swiss Madeのラバーストラップはこだわりの素材と高い品質で生み出され、ロレックス、パネライ等の個別モデル向けに設計された豊富なラインナップを有している。
しかし私の保有するPAM00754はワイヤーラグの為にここでも迫害されており、唯一装着できそうなのは以下のモデルのみだった。
問題は価格である。このラバーストラップは300USD、送料や為替を考えると余裕で4万円を超える価格だ。もはや純正ストラップ以上の価格となる故、いかにルックスが良くても選択肢から外さざるを得なかった。
レザー&裏地ラバー
とあるサイトを閲覧中にある情報を見つけた。「パネライの純正ラバーベルトであるカウッチューベルトはオーストリアのHIRSCH(ヒルシュ)がOEM生産している」という情報だ。
確かにHIRSCHはプレミアムカウチューク素材というものを使っており、パネライのカウッチューと名称が似通っている。
またHIRSCHというと腕に接する部分が凹凸のあるラバー素材のストラップを作っており、非常に通気性が良さそうだ、という印象を持っていた。いつか買いたいと思っていたが、価格が17,600円程するので容易に手が出せる金額ではなかったのだ。
しかし改めて振り返るとパネライ純正ラバーの価格が26,400円。それよりは安いし、表地は耐水加工を施したレザーで300M耐水なので、上品さを損ねずに夏にラジオミールを着けることができる。
HIRSCHとは
HIRSCHの創業は1765年に遡る。元々はファミリービジネスで革のなめし工場を始めたのがきっかけで、1955年には表地と裏地のレザーをシームレスに結合する特許を申請、現在の時計ブレスレット業界の標準となっている。
機能的品質と美的品質の両面を重視し、生み出されるストラップは水に強く、傷が付きにくく、柔らかく手にフィットし、そして最高級のレザーから生み出されるアリゲーターエンボスは美しさを長く維持してくれる。
レザーはタンナーで有名なイタリア トスカーナ地方のサンタ・クローチェで伝統的な方法で生産されている。
HIRSCH&パネライ ラジオミール
今回購入したHIRSCHのジョージ24mm(アリゲーターエンボスに白いステッチが特徴)は、パネライ ラジオミールに驚くほどフィットした。
見た目はマットクロコのようで主張が強すぎない上品な色艶を有している。
そしてこの裏地のカウチュークラバー。腕とベルトの間に無数のチャネルがある為、通気性が良く、汗が溜まって痒くなったりすることが無い。
水、汗、UV、化学品に耐性があるので、日焼け止めクリームを塗った上から装着することが出来そうだ。
HIRSCH&ラジオミール装着イメージ
端的に言えば「素晴らしい」の一言である。24mm幅のHIRSCHジョージにより、少し上品な印象になったラジオミール。
やはりラジオミールにはラバーではなく、革ベルトなのだ。
謳い文句どおり、ストラップの柔軟性が高く、付け始めから驚くほど腕にフィットする。ラバー部分の弾力によりちょっと緩めにベルト穴を通しても腕をホールドしてくれるので、ケースが奥に行ってしまうことが無い。装着感は純正のレザーベルトよりも良い。
それでいて純正ベルトよりも安価な1.7万円で購入できるのであれば安い買い物だ。
薄っぺらいストラップではパネライとアンバランスになってしまうが、HIRSCHのストラップの付け根の部分は厚みがあるので、デカ厚のパネライと一体感が生まれる。
まとめ~ラジオミールにはHIRSCHで決まり~
ラジオミールのクラシカルな雰囲気にはラバーではなくレザーベルトが似合う。
HIRSCHなら純正ストラップと間違える程の質感で、かつ、汗や水を気にせず夏も活躍させることができる。
但し流通モデルにはバネ棒がベルトに装着されているイージークリック式のタイプが混在している為、ラジオミールのワイヤーラグタイプへの装着を想定している場合は、事前にショップに問い合わせをするほうが良いだろう。
とにかくラジオミールの夏用ベルトをお探しならHIRSCHのベルトをオススメしたい。