スムースレザーとは一味違った魅力のあるスエード&ヌバックレザー。
傷が付きにくい反面、「汚れが目立ってきた」、「毛が寝てきてテカってしまった」といった経年劣化がみられるケースが多くあります。
そんなスエード&ヌバックレザーの靴を末永く愛用する為に、新品に近い状態に復元する方法を紹介します。
- 汚れたスエード&ヌバックレザーの靴を綺麗にしたい。
- スエード&ヌバックレザーの靴はどうやって洗えば良いの?
- スエード&ヌバックレザーの靴に「テカり」が出てきた。
- オイルアップしたスエード&ヌバックレザーの靴を元に戻したい。
今回使用する靴
今回は「ECCO Viom Venture」というヌバックレザーを使用した軽トレッキング用アウトドアシューズを使用して復元にトライしていきます。
新品当初の状態では吸い込まれるようなマットブラックのヌバックレザーで高級感あり。
次に現在の状態。
過去に経年劣化でテカりが出てきたのをきっかけに、思い切ってオイルアップしてしまえ、ということで意図的にオイルケアを施したもの。
オイルアップについてはアウトドアショップ「バックカントリー穂高」さんのお手入れ講習コンテンツを参照させてもらった。→http://www.backcountry.co.jp/info/oteire.html
しかし、実際にオイルアップしてみて分かったのは、オイルアップが似合う靴と似合わない靴がある、ということ。
ECCO Viom Ventureはソフトな靴なので、艶が出ることで変に皺感を感じやすくなってしまい、みすぼらしさが増してしまっているように思う。
ヌバックレザー復元手順
では早速作業を開始していきたい。
靴紐を外す
手抜きはせずに紐を外します。
紐を外したら全体のレザーの状態をチェックします。
テカリはあるもののレザー自体に大きなダメージは無さそう。ソールの泥汚れは最後に落としていく予定。
しかし改めてECCOのシューズはソールの減りが少なく、長く履ける靴だと感心。
お湯でオイル・汚れを拭い取る
熱湯に水を加えて手で触れられるくらいの温度に調整。
若干泡立っているのは、おそらくバケツの底に洗剤の残りが少しあった為だと思われますが、気にせず使います。
お湯を布に含ませ、レザー全体を拭いていきます。
左がお湯で拭いた方、右が未処理。
オイルやクリームは温水で濡れ拭きすることでほとんど落とすことができます。
スエードブラシでブラッシング
ここでスエードブラシの登場。今回使用したブラシは外周がナイロン毛、中央がちぢれ真鍮毛となっており、ナイロンが毛並みを整え、真鍮が毛の奥の汚れを掻き出す役割を果たします。
オイル・クリームにより寝てしまったヌバックレザーを起毛させるように細かくブラッシング。
お湯洗い&ブラッシングをしたことでかなりマットな質感が戻ってきました。
しかしこれで終わりではありません。
禁断の秘技「ヤスリがけ」
更に傷んだヌバックレザー表面を整える為、紙やすりを使用。
とりあえず自宅にあった240番手を使いますが、300番手くらいの細番手で十分かと思います。
均一にヤスリがけする為、凹凸のある部分は靴の内側からグッと押してヤスリがけしていく。
このヤスリがけはスムースレザーでもヒビ割れの補修に有効だそうで、スエードやヌバックはそもそもがヤスリがけして起毛処理したレザーなのでスムースレザーよりも難易度は低いと思います。
ヤスリがけ前後比較
ヤスリがけのムラがあるように見えますが、まあこんなもんでしょう。
更に濡れ拭き&ブラッシング
濡れ拭きとブラッシングを行うことで毛並みを整えます。
するとどうでしょう!
テカリがすっかり消え失せ、深い黒色のマットな質感が戻ってきました。
※途中でソールの汚れも落としています。
毛羽カット&ライターでの除去
最後に靴紐を通す部分から、鼻毛のように飛び出ている毛羽を鼻毛ハサミでカット。
靴紐の擦過や、紐を外したり通したりする際の引っ掛かりで結構毛羽立ちが激しかったので、合わせて綺麗にします。
大分イケメンになりました。
次にハサミで除去しきれない細かい毛羽をライターで炙って燃やします。よくネクタイの毛羽を燃やすのにもライターが使われますが、同じ要領です。
レザーの繊維だけではなく、化学繊維のパーツの毛羽も炙って除去。
ビフォー&アフター
作業自体は30分もかかりませんでした。
やはりヌバックのマットな質感は良いですね。上品です。
まとめ
今回は以下の手順でヌバックレザーシューズの復元にトライしました。
- お湯で濡れ拭き
- スエードブラシでブラッシング
- 紙やすりで研磨
- 濡れ拭き
- ブラッシング
- 毛羽除去
汚れが顕著な場合は、モゥブレイの靴用ソープで丸洗いする方法もあります。
最後の仕上げには保革・防水スプレー、必要に応じてスエード用補色スプレー等を使うと、一層新品状態に近づくはずです。
これでスエード・ヌバックレザーの靴も躊躇せずにトライすることが出来るでしょう。