先日パネライラジオミールを売った記事を上げたのですが、実はその前に念願であったロレックスを購入していました。
今回は「選んだモデル」と「その選択理由」について紹介したいと思います
選んだのはシードゥエラー Ref.116600
私が購入したRef.116600は現行シードゥエラー126600の一世代前のモデルなので並行店で買うしか選択肢がありません。その為、ロレックスマラソンに関するノウハウは本記事には含まれません。
シードゥエラー 116600はその防水性が4000フィートあることから「SD4K」「シード4000」といった愛称で親しまれています。
「なぜ新しい現行モデルではなくわざわざ一世代前か」という点ですが、一言では語り尽くせない理由がありますので一つずつお伝えしていきます。
理由その1「希少性」
116600は製造期間が「2014〜2017年までの3年間のみ」とステンレスのプロフェッショナルモデルの中では近年稀にみる製造期間の短さです。当時の定価は100万円くらいだったようですが、80万円で買えるサブマリーナと比べるとあまり人気がなかったようで、その後ディープシー、赤シード(現行モデル)へのモデルチェンジでは本格的なプロフェッショナルダイバーズとして差別化が図られています。
しかし後述するディテールを考慮すると「116600が往年のデザインコードを汲む最後のシード」とも言われます。
そして世界最大級の時計マーケット「Chrono24」における各リファレンスの出品数を比べるとシード116600の希少性が一目瞭然です。記事出稿時点において、現行サブマリーナデイト126610LNは595件、サブマリーナノンデイト124060が375件、赤シード126600が450件、そしてこの116600は127件しかないのです。ちなみにグリーンサブ126610LVも581件と黒サブ並、GMTマスター2もペプシ・バットマン共に700〜800件はありました。
116600は生産終了モデルですので供給数が増えることはありません。市場に流通する玉数が限られているので116600の価値に多くの人が気付けば、価格が高騰するのは間違いないモデルと言われている所以です。
理由その2「ミリサブを彷彿とさせるベゼル」
私がサブマリーナではなくシードゥエラーに惹かれた理由の一つに「インデックスのデザイン」があります。美しいセラミックベゼルの全周に分刻みのインデックスが配置されており、これがロレックスの歴史の中でも指折りのレア度を誇る「イギリス海軍向けサブマリーナ5517、通称ミリサブ」を彷彿とさせるのです。
ミリサブ5517については以下のウェブサイトで丁寧に説明されていますのでご興味があればご覧下さい。
ちなみに本物のミリサブは2020年のオークションで約6千万円で落札されたようで、一般人がお目にかかれることはまず無いでしょう。
近代的なスペックを搭載し、ミリサブの雰囲気を味わえる116600は唯一無二の存在なのです。
理由その3「圧倒的な1220m防水」
飽和潜水に耐えうる1220m(4000フィート)防水はサブマリーナの4倍の防水性能ですから、もはや男のロマンです。ほとんどの購入者はその機能を発揮するどころか海にすら入らないことでしょう。私もその一人です。
しかし、時計が壊れる理由の一つに水没があります。防水性のないアンティーク時計なんかだと湿気や汗も危険で夏場は使えないなんてものもあるくらいです。
つまり、防水性の高さ=時計の耐用年数の長さ、とも言い換えることが出来るのではないかと考えています。湿気・水分の侵入は文字盤や針、時計内部のありとあらゆるパーツの腐食の原因になり得るからです。
そうした観点で見ると、たとえダイビングしないとしても高い防水性にプレミアを払うことを正当化できるように思いました。
好きで買っているので後付けの理由といえばそうなのですが。
理由その4「サイクロップなし・最後の40mmシード」
現行モデル126600はシードゥエラー生誕50周年記念モデルとも言われ、文字盤の「SEA-DWELLER」が赤い表記になっていることから「赤シード復活」としてシードファンを喜ばせました。
その一方でファンをがっかりさせた点があります。「サイクロップレンズ」の搭載です。技術面の向上によりサイクロップありでも深海の水圧に耐えられるようになったとのことですが、ぶつけて傷やカケが生じやすい、あるいは単純にデザイン面でサイクロップを好まない層も多くいます。
加えて従来の40mm→43mmにサイズアップしたことで、一般的な日本人にとっては少々つけにくいサイズ感になったのも残念な点です。※ただ実物を見ると3mmの差は数値ほど大きくないということも触れておきます。
皮肉なことに、126600の登場が旧モデルである116600に再評価の機運を呼び込むきっかけを作ったと言えます。
理由※おまけ「なんでコミット銀座で買ったの?」
私はコミット銀座でシードを購入したのですが、理由は①ギャラ・箱付きで目を見張る価格、②銀座で高級時計を多数扱ってきた実績と安心感、③ローン金利の安さです。高い買い物だったので現金の不足分はローンで補うことにしたのです。
ローンは3社から選択でき、A社 0.15%、B社 0.15%、C社 0.13%と言う具合。この金利は例えば100万円の時計を60回ローンで買おうとした際に総支払額は109万円、毎月支払額は18,700円です。インフレ率を考えたら5年で9万円の利息は屁みたいなものです。そう言い切れてしまうのも、ロレックスの資産価値の高さがあります。困ったら売って現金化すれば良いのです。もっともそんなデスパレートな買い物はしたくないものですが、「迷っていたら益々買えなくなりそう」「特にレア個体、レアモデルは流通している良個体の奪い合い」と言うこともあり早々に決断した次第です。
ちなみに住宅ローン変動金利の相場が0.35-0.55%くらいで、教育ローンなどになると2%前後だと思いますからコミット銀座提供ローンは格安です。これは流動資産である時計自体が担保の役割を果たしているからと考えられます。
購入後レビュー・使用感
まず40mmケースサイズは絶妙です。私の手首周囲は17cm位なのですが、これまでメインに45mm径のパネライを使ってきたので、40mmは若干小ぶりに感じるくらいで収まりが良いです。
15mmの厚みがありながら、その厚みを感じさせないことも巧みなデザインだと思います。
バックルは梨地です。116600には最終生産年の一部のロットに鏡面バックルモデルがありレア個体としてより高い値段が付けられています。資産性を考える場合は鏡面バックルの方が良いでしょうが、個人的には梨地の方が好きだったりします。
ポリッシュよりサンドブラストで荒らす方が手が込んでいると思うのは私だけでしょうか。
また付け心地の良さに一役買っているのは「グライドロックシステム」による微調整機構です。汗ばむ季節はキツく感じるので工具なしで拡張できるのは非常に便利。
※ダイバーズ用のエクステンションリンクは使わないので外しています。
ブレスレットもラグ幅20mmからバックルにかけて15.5mmまでテーパードされていて非常にスタイリッシュです。ちなみにシードはラグ足も当時のサブマリーナと比べると細いので見た目がコンパクトです。
夜光塗料はクロマライト。紫外線ライトを当てると青く光るのが綺麗ですが、自発光色は青と言うより青と緑の中間くらいの色です。気になって価格コムの口コミも見ましたが、よく雑誌で見るような青々としたものではない、との意見が複数散見されました。
3コマ外しで重さは163gくらい。なんの不満もありません。
まとめ
次は絶対に正規店で買おうと思っていたのに悪い癖でまた並行店で買ってしまいました。
しかし23年9月からまたロレックスが値上げということで、少しまた少しと遠ざかっていく存在になりつつある状況を考えると、「ロレックスは常に現在が買い時」という格言もあながち間違ってないのかもしれません。
時計選びは妥協すると完全に心を満たすことはありませんので、最初から本当に欲しいモデルを買うのが一番損の少ない・後悔しない買い物になることでしょう。