百花繚乱のセイコーダイバー
近年のSEIKO ダイバーズの勢いは本当に凄いと思います。これまで一部のSEIKOファンの間で知る人ぞ知るモデルだった通称「ツナ缶」や、海外ファンの多い「SUMO スモー」、「SAMURAI サムライ」そしてこのブログでも取り上げた「MONSTER モンスター」といった人気モデルを国内正規ラインナップにしっかり加え、特に人気のツナ缶は有名セレクトショップに販路を広げることでこれまでどちらかというとプロの道具であり、マニアが好む時計であったセイコーダイバーズウォッチを、一つのファッションアイテムへ昇華させ、新たなユーザー層を取り込むことに成功しました。
価格もお手頃価格~高級志向モデルまでラインナップが豊富なので、様々なニーズにマッチするモデルが揃っています。
そんな人気のSEIKOダイバーズウォッチのビジネスシーンでの着用を想定されて作られ、今はひっそりと役目を終えて主役の座を下りて行ったTRANS OCEANシリーズがありました。
このTRANS OCEANはプロ仕様の200m防水性を持ちながらスタイリッシュなデザインでスーツスタイルにも違和感なく着用できる、二律背反がコンセプトになっていました。この当時はまだダイバーズウォッチはカジュアルな印象でスーツに合わせるには抵抗感がある人が多かったのだと思います。
その後時代も変わり、ダイバーズウォッチを普通にスーツやジャケパンスタイルに合わせることが当たり前になった今、TRANS OCEANのコンセプトは時代に合わずにひっそりと役目を終えることになったのだと推測します。
最近はビジネスシーンでもダイバーズウォッチを、という記事を目にする機会が多いですが、そもそもアイビーファッションのお手本では”時計は親父のおさがりのロレックスサブマリーナ”ですよね。ビジネスのカジュアル化が進みドレスウォッチが売れなくなった(?)、もしくはApplewatchに市場を破壊されているスイス時計業界が、程よくカジュアル感としっかり感を両立できるダイバーズウォッチを流行らせようとするマーケティングなのかもしれませんね。
トランスオーシャン、その魅力
今となってはモデル終了となりましたが、一部ではまだ流通品を新品で手に入れることも可能です。このトランスオーシャンSBDC039、結構頑張ったデザインだと思うんです。
硬度の高いジルコニアセラミックスを使用したベゼル、文字盤は光の角度でさりげなくダイヤモンドパターンに輝き、ベルトもダイヤシールド加工を施したステンレスベルト。SEIKOダイバーをこれまでにないデザイン領域に昇華させたモデルだと思います。
その他にも200m防水、サファイアクリスタル風防、50時間パワーリザーブの6R15自動巻きムーブメントを積んで、実勢価格10万円なのです。
ダイバーズやセイコー5等のSEIKO時計が海外で評価されているのは、日本の高い技術力に裏付けされた高精度・高品質な時計がこんなに安く買えるの⁉ということで人気を博しているのだと思います。なので、特に舶来品の好きな日本人にとってブランド力という点であまり強みがない点が唯一残念な点ですが、間違いなく良いモノづくりをしてますよね。
特にセイコーダイバーは、手に届きやすい価格ながらファン同士で語り合える骨のある時計だと私は思います。