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【前編】ポテイト伯爵の買い物失敗記〜他山の石は最良の指針〜

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ブログ写真を整理する中で出てきた多くの購入品の数々。一つ一つに思い出があり、愛おしくも“ある“。

いや「あった」と言ったほうが正しいだろう。

本日の投稿は、煩悩にまみれ、天からしっぺ返しを喰らった我が身を改めて諌め、この記事を見てくれる方々が冷静に良き買い物ができることを願い執筆したものである。

それでは早速行ってみよう。

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失敗談その一「足に合わない革靴」

私は革靴が大好物だ。甲革の質感や美しいフォルムを撫でて愛でるだけで幸福感が得られる脳汁を分泌することができる特異体質の持ち主である。

これまで数多くの革靴を買ってきた身として言えること。それは、「サイズ選びが重要」ということだ。

何を当たり前のことを、と思った人も多いに違いない。しかし、あなたは自分の足に合う靴がどういったモノか、本当に理解しているだろうか。

少なくとも私は理解していなかった。数多くの勉強代を払い、「これは履きならせば許容範囲」、「これは頑張っても履きならせない」という感覚を掴むことが出来た。

具体例を交えながら説明していきたい。

以下の写真は私がサイズ選びを間違った革靴たちだ。特にParaboot(パラブーツ)のシャンボード、Tricker‘s(トリッカーズ)のカントリーブーツは靴好きなら一度は通る道ではないだろうか。Berwick(バーウィック)はスペイン製のコスパに優れた革靴で、革靴通の人は知っているかもしれない。

いずれも新品で購入したが泣く泣くヤフオク行きとなってしまった。

パラブーツ、トリッカーズ、バーウィック

踵のホールド感が甘いケース

この特徴を感じたのであれば買うのをよく検討したほうが無難だ。

なぜなら履きならしたところで、踵のホールド感が上がることはないからだ。

欧州ブランドの靴によく見られる特徴だが、一般的に欧州人は日本人に比べて踵が大きく、かなり大味なサイズ感になっていることが多い。

私のケースではパラブーツのシャンボード、バーウィック、そして実際に購入はしていないが試着したHESCHUNG(エシュン)などが該当し、より高いフィット感を得るために試着サイズを徐々にダウンしていき、最終的につま先に十分なスペースを確保できていない誤ったサイズを選択してしまった。

特にシャンボードを購入したのは午前中だった為、実際の使用において夕方になると足がむくんできて、とても窮屈なサイズになってしまった。

この経験から学んだことは、踵のホールド感が甘い靴、ましてはつま先が当たるサイズの靴は絶対に買ってはいけない、ということだ。

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余裕を見たサイズ感で選ぶ

ジャストサイズだと靴擦れが起きるからワンサイズ上げて買おうとするのであれば、それも大きな間違いになり得る。※スニーカーならアリかもしれない。

なぜならガラスレザーを除き、レザーは例外なく伸びるからだ。

私はトリッカーズのカントリーブーツを買う際に、「非常に堅牢な作りの為、中々伸びにくく長期間靴擦れするのではないか」という懸念からジャストサイズのUK8からハーフサイズアップしたUK8.5にして失敗している。

もちろん堅牢なカントリーブーツであっても履け続けると十分にレザーの伸びを感じることができた。またソールのコルクが徐々に沈んだことで甲に余裕が生まれたという見方もできる。

そして靴の中にスペースが生まれることで歩くたびに足が靴の中で動き、とにかく歩きにくく疲れやすいフィッティングとなってしまった。

革靴を買うときは、ある程度革が伸びることを前提としてサイズ選びをするのが無難だ。

甲が噛まれるケース

履き慣らし始めで甲に履き皺が入るが、これにより足の指の付け根あたりが当たってしまい靴擦れを起こすことがある。

歩くたびに噛まれるような痛みがあることから「甲が噛まれる」とよく表現される。

しかしこれは履き慣らすことでほとんどの場合解消できる。

もし我慢できなければ、手で思い切り甲革を曲げる(履き皺を深めるように)と、徐々に革がしなやかになり、緩和させることができるだろう。

シューストレッチャーと専用のスプレーを使うことで革を柔らかくすることも選択肢のひとつだ。

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小指・くるぶし等が当たるケース

くるぶしに当たって痛い場合、同じく手で周辺の革を折り曲げて柔らかくすることで大体の場合、緩和させることができる。

小指が当たるケースも同様であるが、あまりにも小指が当たるフィッティングの靴には注意すべきだ。あなたの足の形と靴の木型がそもそも合っていないことが考えられる。

履けないことはないが、おそらく靴の内張りのレザーが小指周辺だけ摩耗し、劣化が進みやすくなるだろう。

失敗談その二「重いレザーバッグ」

20代の頃に奮発して購入した土屋鞄のオイルヌメトート。当時6万円程でオンラインストアで購入し、到着した時は心地良いレザーの香りと共に、あまりの質感の高さに感動したことを覚えている。

土屋鞄オイルヌメトート

しかしこのバッグ、その質感の高さゆえにバッグ自体の重量が1.5kgくらいあり、中に物を入れると「とにかく重い」。

表皮はオイルがたっぷり染み込んだシボレザー、そして内張りにはピッグスエードがあしらわれており、その高級感と引き換えにずっしりとした重量級となっている。

バッグ自体が大きめであるので、特に出張時に活躍させたいサイズ感であるが、中にパソコン、着替え、その他諸々を入れると、とても常時片手で保持できる重さではなくなる。まさに”煩悩多き我に、天が与え賜う苦行”である。

耐えかねてお直し屋さんでショルダーストラップ用のDカンを取り付けてもらったが、肩から背負ったところで重さは変わらない。腕の痺れが、肩凝りに変わっただけだった。

持ち手のレザーが細く、断面が丸まったタイプであること、肩掛けを前提として長めに作られていることも、より重さを感じやすい特徴だ。これがフラットタイプの持ち手で、もう少し持ち手が短ければ重さが少しは軽減されたことだろう。(ちなみにその後のデザイン変更で持ち手はフラットに、重量も1.2kgへ軽量化されている)

軽いは正義」であることを身に染みて感じた購入経験となった。

失敗談その三「似合わない服」

服そのものがカッコよかったとしても自身のワードローブに加えるかは、一度冷静になって考えるべきだろう。

一例として紹介したいのは以下の二つのアイテム。

ヘリーハンセンファイバーパイルボアベスト&MA-1デニムジャケット

まずSHIPSのMA-1デニムジャケットはファッション雑誌に掲載されていたのを見つけ、居ても立ってもいられずに新宿まで行き購入したものだ。

当然試着もしたが、服を売るのが仕事であるショップ店員はお勧めしかしてこない。気分良く“えいや“で買ってしまったが(確か1.7万円程)、私が着ると何故かお洒落ではなく「トラックジャケットを羽織ったとっつぁん」と化してしまう。

こんなはずではなかった。追い討ちをかけるように妻から「なんでそれ買ったの?」と心無い言葉を浴びせられる羽目に…。

イマドキの若い子ならお洒落に着こなせるのだろうが自分には無理だった。ゆえに速攻でフリマアプリ行きとなった悲しき思い出。

次にヘリーハンセンのボアベスト。元祖フリース素材であるファイバーパイル生地はヘリーハンセンを象徴する素材だ。

野暮ったくならないようにフード付きベストを選んだが、自分の年齢を考えると徐々に「これ厳しくないだろうか?」という思いが増幅し始める。

ボアベストの難点、それは「子供っぽい印象になる」ということだ。

もちろんこれを着こなせるお洒落なダンディおじさんもいることだろう。しかし、これにデニムを合わせようものならカジュアルすぎて年相応とは言えない。

しばらく着たが、MA-1同様に最終的にフリマアプリ行きとなった。

これらの経験から言えること、それは「自分に似合う服、自分が既に持っている服と合わせやすい服を見極める目を養うことが大切」だということだ。

アイテム単体で見ればかっこよくても、着こなせなければ持っていても意味がない、それを教えてくれた買い物であった。

失敗談その四「サイズ感の合わないアウター」

アウターの中でも定番アイテムといえるNANGAダウンとLAVENHAMのキルティングジャケット。

どんなに人気であろうが、売れているモデルであろうが、サイズ感を間違えればそれはクローゼットの粗大ゴミと化す運命だ。

ラベンハム、ナンガダウン

LAVENHAMのキルティングジャケットはエディフィス別注品を購入した。購入の際にサイズ選びを非常に迷った記憶がある。

ワンサイズ下げるとスーツジャケットが少しはみ出てしまい、購入した本サイズはジャケットはちょうど隠れる丈だが、若干オーバーサイズ気味、という絶妙なサイズ差の狭間で迷いに迷い、結果的に大きめサイズを購入して失敗した。アウターからジャケットの裾がはみ出るのはファッション的にNGだという風潮にどうしても抗えなかったのだ。

ある日これを着て出社した際に、たまたま会った仲の良い同期から「こたつみたいだね」という歯に衣着せぬ率直な感想を得て、目が覚めるような思いをしたものだ。

それ以来これを着ていると何故だかちゃんちゃんこを着ているような錯覚、そして「こたつ」というパワーワードが脳内に木霊し、以来キルティングジャケットは半分トラウマとなっている。

次にNANGAダウンを挙げた理由であるが、袖丈が短く、風もスースー入ってくる、という点が大きなデメリットと感じた。

更に、私が購入したような人気が出始めた頃のNANGAダウンのシルエットはミシュランマン的で、やたらお腹がぽっこりする点も不満を感じたものだ。

アウターは着膨れしやすい為、着膨れしてもかっこ良いシルエットであるモノ、望ましくは第三者の目線を入れて選ぶのがベターかもしれない。

最後に、本記事に登場したアイテムそれ自体には素晴らしいものも含まれており、筆者の主観が大いに入っていることを補足しておきたい。

次回は「買い物失敗記:後編」をお送りします。

※最近の筆者の「間違いないアイテム選び」はずばりアークテリクスである。少々値が張るが、微妙な服を買って金をドブに捨てるくらいなら大枚をはたく価値がある。欧州サイズなのでワンサイズダウンは必須。

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