(※22年2月一部追記)
最近黒靴に対する熱が急上昇。念願のトリッカーズ短靴で適正サイズへのリベンジを果たしたのでレビューしていきたい。
トリッカーズといえばカントリーブーツだけど…
カントリーブーツで有名なトリッカーズであるが短靴もかなり評判が良い。ブーツタイプだと冬場のカジュアルシーンに限定されるが、短靴の場合、利用シーンがグッと広がる。
短靴でも基本的なディテールはカントリーシューズのそれと変わらない。大きく張り出したコバ、ストームウェルト、メタルアイレット(バートンのみ)、そしてダブルソールの堅牢な作りと魅力が詰まっている。
前回、痛恨のサイズ選択ミス
冒頭に書いた“リベンジ”とはカントリーブーツでのサイズ選択ミスだ。ブーツだと靴の総重量が重くなるので、サイズ感はよりシビアになる。
以前にカントリーブーツStowをネット購入する際に下調べした中で、トリッカーズはとにかく堅牢な作りで足に馴染むまでに相当履き込まないといけないとの情報を得たので、少々びびって私の足サイズ実寸(足長:26.5cm、足幅:10.5cm、足囲:26.0cm)に対しハーフサイズアップしてUK8.5を選んでしまった。
半年〜1年履き込んだところコルクが沈み革も少し伸びてきたのか、歩いているときに踵が浮くようなサイズ感になってしまったのである。インソールを入れてみたりもしたが、逆に履き心地が悪くなり結局手放す羽目になってしまった痛い過去がある。
どんなに堅牢に作られているとしてもやはりコルクは沈み、革は馴染んでくる。
今回はそんな失敗談を踏まえてサイズを選択した。
購入場所とサイズ
凝りもせずまたネットで購入した。なぜなら店舗で買うより楽天通販の方が圧倒的に安く買えるのだ。
実はプレーントウタイプのウッドストックは先行してロコンドのセールでサイズ8.0を衝動買いしていた。(ロコンドは一部を除きサイズ交換可能なので安心感がある。)
UKサイズ8.0が私の足にジャストフィットであることは確認できていた為、迷わず楽天でバートンを追加購入した。しかし、後々気が付くのであるがバートンとウッドストックは使用しているラスト(木型)が異なる為、若干着用感が異なるのである。
ウッドストックの幅12cmに対し、バートンは12.5cmだ。たかが0.5cmと思うかもしれないが、この差が結構大きい。事実、私の足でバートンがほとんど靴擦れがないのに対し、ウッドストックでは小指に当たりを感じ、目下履きならし中だ。購入後2ヶ月で他の靴と回し履きしているがようやく馴染んできつつある。
このフィット感については個人差があるのは言うまでもないが、私の足にはバートンがフィットしているようだ。
ウッドストックvsバートン
引き続いて両モデルの違いを観察していく。まず大きな点は履きジワ。通常靴は履きジワが当然付くものだが、以前カントリーブーツを履いていた際には履きジワが付きにくく、厚みのある上質な革を使っていると実感できた。
ところがウッドストックには少々不細工な履きジワが付いてしまった。コロニルプレミアムディアマントを使用して履き始めのメンテをしたつもりだったが不足していたのか…。一方でバートンにはこのような履きジワが付かないのだ。
これは靴の構造的な違い、すなわち、バートンはフルブローグなので足先の革が2重になっている為、皺が均一に入りやすいことが理由なのか、革質のロットぶれによるものなのか、或いはその両方かもしれない。
とにかくウッドストックには履きジワが付きやすいと言える。靴のメンテをしていても革質の違い(バートンのほうがキメが細かい印象)を感じる為、個体差もありそうだ。セールとはいえ5万円という安くない金額で購入したものなので少々残念。
もう一点違いは踵部の作りだ。ウッドストックはプレーントウなので踵部の縫い目も少なくシンプルになっている(右)。
一方、バートンは真ん中に縫い目が配置されており少々カジュアルな印象。実はフィット感にも違いがある。バートンのほうが踵の作りが高いことがお分かり頂けるだろうか。
バートンは履き口が大きく作ってあるようなので踵を高くしてフィット感を高めていると思われる。どちらも履き始めは当たる感じがするが、個人的にバートンの踵のほうがフィット感が高い。
色とソール選び
トリッカーズ靴のカラーとソールの種類をどうするか。選ぶのが楽しくもあり、同時に悩ましい点でもある。
私はビジネスシーンで短靴を使用することを想定し、いずれもブラックカラーを選択。ソールはダイナイトソールだ。ビジネスで使うならブラックかエスプレッソが使いやすい。
初めて購入したカントリーブーツはレザーソール、エスプレッソバーニッシュドだったが、エスプレッソの重厚感のある深い色合いも捨てがたい。ネイビースーツにトリッカーズの茶靴を合わせたら、かなりカッコいいだろう。
レザーソールは結構摩耗が激しかった記憶があり、おそらく履き始めは革やソールが硬く、その分地面と擦れる力が余分に入っていたのではないかと思う。後からトウスチールを入れたり、ハーフラバーを張ったりすることを考えるのであれば、素直にダイナイトソールでいい気がする。
またカジュアルシーンで使うなら人気のエイコーンアンティーク、マロンアンティーク、シーシェイドと魅力的なライトブラウンカラーが並ぶ。
個人的にプライベートシーン用に選ぶならはエイコーンアンティークかな、という感じ。
選ぶならバートン or ウッドストックどっち?
個人的には是非バートンをお勧めしたい。トリッカーズは歴史とノウハウが詰まっているカントリーシリーズが至高の逸品、フルブローグの重厚な雰囲気はまさに男のコダワリ靴に相応しい品だ。
ウッドストックについて、少し否定的なことも書いたがこれはこれで履きならす楽しみがある靴だ。外羽根のプレーントウは使い勝手が良いし、更にそこにトリッカーズの魅力が上乗せされていたら最強だ。堅牢な作りはバートンと同じである。
ただしトリッカーズにそこまでコダワリがないのであれば、同じ値段(定価)だったら名品と言われるチャーチのシャノン、他にもチーニー、クロケット&ジョーンズ等のプレーントウシューズも選択肢に上がる。
トリッカーズの靴はコバが張り出し、戦車のような重厚な造りなので他のブランドとは一線を画す。それがプライスレスな魅力なのだ。
※2年間使用レビュー記事はコチラ