2020年1月に購入したSinn.556.Perlmutt.Wですが、先日オーバーホールに出してきました。
今回は第一弾としてオーバーホール店の選定方法と価格についてお話していきます。
OHに出したSinnの時計
今回OHに出す時計はSinnの中で売上上位を誇る定番の556シリーズです。556シリーズには~2019年頃までETA2824-2というムーブメントが使用されていました。それ以降はSellita SW-200というムーブメントに置き換わっています。詳しくはSinn DEPOT渋谷店の小出店長がYoutubeで解説されています。
Sinnは汎用ムーブメントを自社でファインチューニングして載せている為、非常に高精度を誇りますが、正規オーバーホール以外に一般的なオーバーホール店でメンテナンスしてもらいやすいムーブメントだと言えます。
正規オーバーホール料金「並行差別は存在するのか?」
国内正規品と並行輸入品のメンテナンス料金の差があることを一般的に「並行差別」と呼ぶことがあります。実際にSinnでは国内正規品、いわゆるギャランティカードの有無で料金の差が設けられています。私は有名時計店ジャックロードで購入したので本体価格自体は当時かなり安く買えたのですが、メンテナンス料金までは考えていなかったので意外な落とし穴でした。
上記の価格表をご覧頂くと、倍の料金差があるのがお分かり頂けると思います。3針のスタンダードモデルで約8万円~ですから少し躊躇する料金水準です。
もしOHに出すモデルが、5000m防水のハイドロテックや、独自ドライカプセル(Arテクノロジー)を搭載している場合、正規OH以外の選択肢が無くなりますので国内正規品を購入しておくほうが長い目で見ればお得と言えます。
IWCやパネライ等のリシュモングループや、ロレックス、オメガは並行差別を設けていませんので、中古時計の相場も比較的高い(購入者にとって検討しやすい)為、是非Sinnにも並行差別を取り払ってもらいたいものです。
オーバーホール店を探す
購入から4年弱しか経っていませんが、それなりに使用頻度も高かったのでOHに出すことにしました。搭載ムーブメントはETA2824-2ですので正規ではないオーバーホール店を探します。
ちょうど2023年にオーバーホール店が潰れて時計が返却されない被害が出たとのニュースがあったので、その可能性が低そうな複数店舗を持つ会社で評判が良い中から検討しました。
以下の3店舗は修理実績が豊富そうで、HP上でブランド別のOH基本料金が公開しているので安心感があります。Sinnのようなマイナーブランドの価格表と実績があるのも決め手になりました。
ウォッチホスピタル | ウォッチカンパニー | シエン | |
自動巻 | 27,500円 | 22,000円 | 28,600円 |
クロノグラフ | 38,500円 | 33,000円 | 39,600円 |
納期 | 3週間~ | 3週間~ | 3週間~ |
店舗 | 4店舗 銀座 上野 神田 新宿 | 5店舗 飯田橋 表参道 横浜 大阪梅田 名古屋 | 2店舗 大阪梅田 新宿 |
各社の価格表を元にするとウォッチカンパニーが一段安い価格帯ですが、各社に大きな差はないと感じました。また、安ければ良いというものでももちろんありません。
最終的にGoogleマップでの評価数・評価点が最も高かったウォッチホスピタル神田店に出すことに決めました。また、HP上で1級時計修理技能士が多数在籍しているとPRしている点も選定理由の一つです。
もっとも、資格があるかどうかよりも修理士の腕前は人により差があると思いますし、Googleマップの評価もあまり当てにすべきものかは分かりません。
ちなみに…「時計修理店のネットでの評判」について
上記にて紹介した時計修理店の調査はほんの一部です。実際には5chやネット上の評判を色々と調査していますが、結論から申し上げますと「良く分からない」という答えに至りました。
もう少し深堀りしてご説明します。
①「時計 オーバーホール おすすめ」記事は当てにならない
検索サイトで「〇〇 おすすめ」と調べると検索上位に出てくるのは大体”まとめサイト”です。中には高い専門性を持った”本物”と言えるサイトもありますが、大部分はネットで誰でも得られる情報を綺麗にまとめ上げただけのサイトです。実体験が伴わないので「リアルさ」が無いのです。
特に時計などの高級嗜好品は情報が比較的少ないのでSNSで時計マニアの情報を追いかけるほうがリアルな情報が得られるかもしれません。
②ネットの評判は話半分で受け止めるべき
例えば5chで数年前にウォッチホスピタルの悪評を書き込んでいた事例も見ました。曰く、「オメガのOHに出したら自動巻きのローターが巻き上がらない状態で戻ってきた」ということです。これが本当であれば確かに酷い話です。
また、ウォッチホスピタル以外でも「OHで傷を付けられた」というケースはいくつか見受けられます。しかし、修理実績が多いほどトラブルの件数が相対的に増えるリスクはありますし、結局不満を持つ声の方がネット上では大きくなる傾向があるのです。企業努力でサービスを改善し続けている場合もあれば、慢心からサービスが悪くなる場合もあります。
つまり、結局信じられるのは自分の感覚ではないでしょうか。窓口対応一つとっても真摯さや丁寧さ、誠実さ等は対応してくれた人から感じ取れるものです。何か一つでも心に引っ掛かるものがあれば、大切な時計を預けないほうが良いと私は思います。
ウォッチホスピタルでの修理体験はいかに!?
では実際のウォッチホスピタルでの修理体験を次回の記事で紹介していきます。乞うご期待!