数年前に日本で販売されて以来、破竹の勢いを続けるオーディオデバイスメーカー「SOUNDPEATS」。
今年発売されたアクティブノイズキャンセリング機能を備えた「Air3 Pro」はVGP2022アワードでイヤホン部門のコスパ大賞に輝き、価格以上の音の表現力の高さでAmazonでは売り切れ続出の人気モデルとなっている。
そんなSOUNDPEATSより新たにリリースされた世界初のハイレゾ対応インナーイヤー型TWSイヤホン、「Air3 Deluxe HS」をレビューしていく。
開封レビュー
12cm角くらいのコンパクトなパッケージで届いたAir3 Deluxe HS。このモデルは既に発売済みのAir3 Deluxeの派生モデルのようで、ハイレゾ/LDACに対応しているのが特徴。
前モデルのAir3 DeluxeはAmazonジャパンでユーザーレビュー4.2点、米国Amazonでもユーザーレビュー4.4点を獲得している人気モデルだ。
箱を開封すると中には本体(ケース&イヤホン)、説明書、USB-A to USB-C充電ケーブルのシンプルな内容物。
AirPods Proライクな丸みを帯びたケース。前面にLEDランプとペアリング用スイッチを備えている。
ランプの色が変わることで電池残量を3段階で表示する仕組み。
背面にはブランドロゴの入ったゴールド調のプレート・ヒンジパーツ。
厚みも抑えられており、携帯性は良好そうだ。詳しい寸法については次項で説明したい。
そしてイヤホン本体はインナーイヤー型。筐体はマットな樹脂パーツで重さは片耳4g。とにかく軽い。
Airpods Pro第一世代とのスペック比較
外観
筆者が2019年の発売以来使用してきたApple AirPods Proと外観を比較した。
スペック上のサイズを見るとさほど大きな違いはないが、手に取ってみるとより丸みを帯びたSOUNDPEATの方が一回り小さく感じる。
SOUNDPEATSはUSB Type-C充電端子を備えている。Appleは独自規格のLightning端子である点がマイナスポイントだが、Qi充電にも対応しているので甲乙は付け難い。
SOUNDPEATSはイヤホンのタッチセンサー部がゴールド調の金属パーツで高級感がある。その一方でAirPods Proの時と同じようにイヤホンの丸い筐体を掴んで耳へのフィット感を調整する時に誤タッチしてしまうことがあった。もっとも、一回タップで右耳が音量UP、左耳が音量DOWNなので、致命的な点ではない。
フィット感を調整する際は、“うどん”部分を掴んで調整するのが正解かもしれない。
スペック比較
インナーイヤー型のAir3 Deluxe HSと、カナル型でANCを備えたAirPods Proを比較対象とするのは少々酷かと思われた。しかし比較して分かったことは、Air3 Deluxe HSは決してAirPodsProに引けを取らないどころか、単純に音質だけで見ても優れているということだ。
以下はスペック比較表であるが、高級イヤホンでも採用されるバイオセルロース振動板による14.2㎜径のダイナミックドライバーを採用したことによる恩恵が大きいだろうか。
次項では詳しく使用感を説明していきたい。
SOUNDPEATS Air3 Deluxe HS | APPLE AirPods Pro | |
価格 | 7,000円(想定価格) | 32,800円(定価) |
サイズ | 57x48x22mm | 60.6×45.2×21.7mm |
重量 | 総重量36.3g、片耳4g | 総重量56.4g、片耳5.4g |
チップ | WQ7033M | H1ヘッドフォンチップ |
形状 | インナーイヤー型 | カナル型 |
耐水性能 | IPX4 | IPX4 |
バッテリー | 5.0時間(連続再生) 22時間(ケース込み) | 4.5〜5.0時間(連続再生) 24時間(ケース込み) |
通信方式 | Bluetooth 5.2 | Bluetooth 5.0 |
ANC | なし | あり |
マイク | 2つ | 1つ |
オーディオ テクノロジー | バイオセルロース振動板 14.2mm径ダイナミックドライバー LDACコーデック対応 ハイレゾ認証 デュアルマイクによるクリア音質 最小60msの低遅延ゲームモード アダプティブイコライザー イコライザーカスタマイズ 着脱自動検知 | アクティブノイズキャンセリング 外部音取り込みモード アダプティブイコライゼーション 均圧のための通気システム 専用の高偏位Appleドライバ 専用のハイダイナミックレンジアンプ 空間オーディオ※対応アプリのみ マルチペアリング |
コントロール | L、Rでそれぞれ1〜3回のタップ操作 L、Rで1.5秒、2秒の長押し 音声アシスタント | 1〜3回のタップ操作 長押しによるANC切り替え Siriによる音声操作 |
充電端子 | USB-C | LightningおよびQi充電 |
使用した感想
優れた点①「ハイレゾ・LDACに対応、立体感のある音」
筆者はLDAC対応機種を持ち合わせていない為、iPhone13Pro、iPad Pro(2018)、そしてWindowsPCで検証を行った。
本モデルには音場の広がりを感じるような立体感があり、迫力のある低音が鳴るので音楽を聴いていて楽しさがある。ボリュームのある低音に対し高音域のギターも潰れずにしっかり聴こえ、ボーカルの明瞭感も非常に高いので、かなりバランスの良い音に仕上がっていると感じた。
iPhone/iPadで聞いてこのクオリティなので、LDAC対応のAndroidスマホであれば更に高音質で楽しめるのでは無いだろうか。
音楽だけでなく、YoutubeやNetflix視聴でも音の解像度が高く、無理に音量を上げなくてもディテールまで聞き取りやすい。
一方のAirPodsはマルチペアリングによるAPPLE製品とのシームレスな連携を得意としている。使い勝手は良いが正直音質はのっぺりしており、値段が高い割に音のクオリティが高いとは言えない。
またAir3 Deluxe HSは専用アプリからイコライザーカスタマイズが可能だ。数種類のイコライザープリセットに加え、アダプティブイコライザーにも対応している。ただ、個人的にはデフォルトの音で十分満足できた。
【専用アプリのトップ画面】
【専用アプリのカスタマイズ画面】
【イコライザーカスタマイズ機能】
優れた点②「軽量コンパクトで優れた携帯性と快適な装着感」
AirPods Proは耳にキュッとはまる感覚があり運動時にも安定している一方で、しばらく装着していると耳が痛くなってくる。個人の耳の形状にもよるが耳への負担が感じられてしまうケースがある。
Air3 Deluxe HSはイヤーピースの軽量さに加え、コンパクトな形状により付け心地がとにかく軽く、長時間装着しても耳への負担をほとんど感じない。カナル型のように耳を密閉しないので蒸れや閉塞感がなく、インナーイヤー型のメリットを改めて実感した。
優れた点③「FPSゲームで使える音場の広がり・指向性」
FPSゲームでも使えるかどうか「PUBG:NEW STATE」を用いて実証した。
以前はAirPods Proでプレイしていたのだが、指向性がなく敵の銃撃音・足音がどの方向から鳴っているかの判別が難しかったので「SONY WH-1000XM4」を購入した経緯がある。
(参考)レビュー記事↓
ゲームモードは専用アプリからONにできる他、L側のタッチパネルを3回タップすることでON/OFFを切り替えることができる。
【ゲームモードの設定】
PUBGでのプレイでAir3 Deluxe HSを使用したところ、音の立体感と指向性を充分に感じることができ、しっかり銃撃音の方向、敵の足音の方向を把握することが出来た。
PUBGモバイル歴3年(モバイル=クラウン帯、NS=マスター帯)の中堅プレイヤーの筆者の感覚では、FPSゲームでも十分対応できるスペックと感じた。
優れた点④「仕事のWEB会議でも使えるスペック」
WEB会議におけるイヤホン/スピーカーへの不満には様々なものがあり、中々最適解には出会えていない状況だった。
<WEB会議で使うイヤホン/スピーカーの課題>
- ノートPC内蔵スピーカー → 人によってマイク音量が違う、音質が悪く音量を上げると高音で耳がキンキンする
- 有線イヤホン → ケーブルの長さの範囲でしか移動できない
- AirPods Pro→ Windowsでは音質悪/音量大きすぎで使えなさすぎる…
- ヘッドホン → 長時間付けていると耳が蒸れ、首も疲れる
これらを解決しうる選択肢として、実体験を経て気づいた以下の理由から「Air3 Deluxe HS」はオススメできる。
- マイク2機を搭載、ノイズリダクションにより相手に声が聞こえやすい
- インナーイヤー型なので蒸れない、耳疲れしない
- 明瞭感のあるボイスはWEB会議にも打ってつけで、程よく低音寄りなので耳がキンキンしない
- 連続再生5時間に対応し長時間会議でも使える
- ワイヤレスなのでテレワーク中の会議時にトイレに行ったり、キッチンに飲み物を取りに行ける
優れた点⑤「外出時、ANCなしでも十分音楽を楽しめる」
一番の懸念は「ANCが無いことで外出時の雑音により音楽が聞こえにくいのではないか」という点だった。しかしAir3 Deluxe HSは良い意味で期待を裏切ってくれた。
前述の通り、ハイレゾ対応で立体感のある音・クリアなボイス表現により、たとえANCなしで音量が低かったとしても屋外で十分に音楽のディテールを認識することができた。
もちろんANCありの方がより音楽に集中できるのは間違いない。しかし車や自転車に注意が必要な外出時にはある程度外音が聞こえる方が安心だ。
「自然音の中で好きな音楽をバックミュージックとして溶け込ませる」、そんな楽しみ方があるのでは無いだろうか。
まとめ
Air3 Deluxe HSは、音楽・Youtube・ゲーム等のコンテンツに加え、仕事でも活躍するオールインワンの優れた製品だ。かつ、想定実売価格は7千円とハイレゾ対応イヤホンとしては破格で、“お値段以上“の価値が感じられる機種だ。
インナーイヤー型を検討中の方や、既にノイズキャンセリングイヤホンを保有中の方のサブ機としても検討に値するアイテムではないだろうか。
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