ロレックスバブルはいつ終わるのか

ロレックスバブルはいつまで続くのか?

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ロレックスの高値はいずれ終わる、その理由

①永久に上がり続ける投資など存在しない

例えば最近までバブル状態にあった暗号通貨。ビットコインは昨年779.4万円の高値を付け、当時多くの人間が1千万円を超えると信じていた。結果的に現在は3百万円を下回り、価値は半分以下になった。

きっかけは米ドルの価値と連動するはずのTerra(LUNA)が暴落したことで暗号通貨全体への信頼が大きく揺らいだことに加え、FRBの利上げが重なった為と言われている。

事業会社に投資する株取引や、国家の基軸通貨と異なり、暗号通貨そのものに実在する価値など無く、単なる需給バランスで値段が決まるという資産としての脆弱性が炙り出されたということに他ならない。

また、今年の冒頭には米国ハイテク株を中心に過大評価されていた株が一斉に大幅下落した。

金が余っている中でFRBの引き締め強化によって資金が引き上げられたこともあるが、スタートアップのような新興勢の多いハイテク株は企業価値に対して株価が高すぎた状況にあり、「本質的にそこまでの価値は無いよね」というファンダメンタルズ的な側面が大きく評価される結果となった。

株価純資産倍率を示すPBRを見ても、しょぼい会社が余裕で30倍を超えているのはさすがに行き過ぎた状況だったと言える。(いくら将来性がありそうな分野だったとしても)

ロレックスをはじめとする高級腕時計は現物資産であり実在する価値がある。しかし、ロレックスの高値は行き過ぎた感があり、本来の価値を超えたところにあると言えるのではないだろうか。

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②今の状況は単なるバブルである

ロレックスマラソン、転売ヤー…。ロレックスの並行価格が徐々に低下傾向にある中でもまだまだ衰える様子のない異常な状況。中には転売ヤーを悪とする記事も見かけるか、果たしてどこまでが転売ヤーなのだろうか

例えば定価170万円のデイトナを入手し、すぐに並行店へ持っていけば400万円の査定が出るとしたら、一瞬で230万円を儲けることが出来る。こんなボロい儲け話はない。たとえそこそこ金を持っている人間だったとしても、たとえ本当に時計好きで欲しかったモデルであったとしても、金に目がくらまない人間などいるだろうか。

運よく人気モデルを手にした人間は、潜在的に転売ヤーになり得ると私は考えている。

そして転売で簡単にここまでの利ザヤが出る状況は異常であり、単なるバブルに過ぎない。

更に言うのであれば、ロレックスにはこの状況を積極的に打破するインセンティブは無いと考えている。たとえバブルが終わり需要が落ち着いたとしても、「また価格が上がるかもしれないから」とロレックスを求める人は多くいるであろう。

ゆえにバブルが過熱する今の状況はロレックスにとって資産価値をPRする絶好の機会なのだ。

③円安はいずれ終わる

1ドル=140円の円安水準は24年振りと言われており、「日本終了」、「円の価値は下がっていく」、と声高に主張し、国民の不安感を煽る論調も多く存在する。

しかし現在の円安は米金利上昇の影響が主であり、日本だけでなく欧州基軸通貨のユーロも対ドルでは近年に見られることのなかったユーロ安水準となっている。

更にユーロ圏はロシアのウクライナ侵攻により天然ガスパイプラインからのエネルギー供給を満足に受けられない状況であり、エネルギー危機からもユーロ安が進むと見られている。

日本国内の景気水準や購買力を考えれば円は過小評価されている状況、というのがアナリストの見方であり、FRBが米景気後退とのバランス調整として利上げを抑制し始めた頃に、円は従来の水準に戻っていくことになると予想している。

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④数字で見るロレックスの真実

有名な数値であるが、LuxeConsultとモルガンスタンレーが発表している高級時計の推定年間売上のレポートがある。ロレックスの販売シェアは21年1月~12月の間で28.8%を記録し、80億5千万スイスフランの売上を記録した。

引用:https://watchesbysjx.com/2022/03/morgan-stanley-watch-industry-report-2022.html

更に20年のレポートではロレックス1本あたりの平均価格は9,822スイスフラン(約1.5百万円)となっている。21年の売上数値を、上記の平均価格で割ると約82万本を販売していると推測される。

引用:https://luxus-plus.com/en/the-big-winners-in-the-swiss-watch-industry-in-2020/

更にスイス時計協会の統計データによると、スイス高級時計の輸出比率の内、2~3割を中国・香港向けが占める。(ロレックスにおいては19年以降の中国人による爆買いを含めると3~5割が中国向けに流れているとも言われる。)

引用:http://www.fhs.jp/pdf/mt3_210112_a.pdf

ご存じの通り、中国は不動産バブルがはじけ、更にゼロコロナ政策による景況後退が進んだことで、購買力低下に加え、富裕層がロレックスを売却し始めた為、ロレックス並行価格が下がってきている。

景気悪化は中国だけではない。一大市場の中国の景気悪化は世界の景気悪化を招くと考えられ、米国では利上げによる景気後退懸念、欧州は冬場のエネルギー危機が迫る。

景気が悪化すれば当然高級時計を買いたくても買えない人が増え、在庫を回転させる必要に迫られた並行店では少しでも価格を抑えて販売せざるを得なくなるだろう。

結果的に何が起こるか

仮にロレックスバブルが終わるとしても、サブマリーナが30万円で買えるとか、50万円で買えるという時代が来るとは到底考えられない。しかし、この推測が正しければ高騰している並行価格・中古価格が定価に近づいていくことはあり得る。

暗号資産やハイテク株と違い、現物資産としての価値が高級時計の強味でもある。足元で円の価値が下がっている日本においては時計の資産性の魅力は増すばかりである。

しかし景況感の悪化と共にバブルはいずれ終わる。ロレックスは全世界で最も人気のある高級時計の代名詞であり、それ自体のニーズは揺るぎないが、需給タイト感は和らいでいくだろう。

また、これまで生産量を落とさず、市場に多く出回った玉数も考えれば、にわかロレックスファンや転売ヤーの減少に伴い、いずれ並行価格が下がるはずだ。しかしそのタイミングが直近で訪れるのか、あるいは5年後なのか。それは誰にも予想できない。

しかしその時こそ、真の時計愛好家達が待ち望む瞬間かもしれない。

ロレックスが供給数を絞り需給タイト感を維持する可能性も考えられる。しかしそれはロレックスの売上減少とシェアの低下を意味する。逆にそうしない場合、より多くの人がロレックスを手にすることができ、ブランド価値が棄損することになる。

※一部の噂では今後ロレックスが供給体制を整えて供給が増えるとの見方もある。

COVID-19により市場規模が広がった高級時計業界が、今度どのようなアプローチをとっていくか注視したいところだ。

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